「アンケートを実施したのに、思ったより回答が集まらない…」「設問のどこが悪かったのか分からない」
そんなお悩みをお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか?
本記事では、アンケート設問の作り方に悩む方向けに、回答率が上がる設問の設計方法と具体例(テンプレート)を紹介します。
マーケティング・人事など、さまざまな現場で使える内容となっています。
アンケート設問設計の重要性
アンケートは、顧客や従業員などの本音を引き出す貴重な手段です。
しかし、設問設計が不十分だと、「偏った回答」や「未回答」が増え、データとしての信頼性が下がってしまいます。
設問の質が、アンケートの成功を左右すると言っても過言ではありません。
目的に合った設問を、答えやすく、かつ誤解のない形で提示することが、高い回答率と質の高いデータ収集につながります。
アンケート設問の基本構成と順番
設問は、以下のような構成を意識することで、回答者の心理的負担を軽減し、最後まで回答してもらいやすくなります。
設問の順番 | 内容 | ポイント |
1. 導入部 | 属性質問(年代・性別・職種など) | 属性により質問を分岐させたい場合には最初に聞くことがマストとなります。 |
2. 本題 | 評価・満足度・印象など | 質問の意図を明確に。選択式をメインとし、回答ハードルを下げます。 |
3. 詳細 | 理由や改善点など | 定性的な情報を得る設問。記述式にすることでVOC収集が可能 |
4. 終わり | 任意記入欄・インタビュー可否 | サービス全体に関してや、アンケートに関する要望等を記載してもらったり、深掘りのためのインタビューに応じていただけるかを確認します。 |
設問の種類と使い分け
アンケート設問には大きく分けて以下の3種類があります。
1. 選択式(定量)
• メリット:集計・分析しやすい、回答者が答えやすい
・デメリット:選択肢によってバイアスがかかる
• 例:「以下の選択肢から、利用をしたことのあるツールをすべて選択してください」
2. スケール式
• メリット:感情や傾向の程度を把握できる
・デメリット:何段階のスケールにするかによって点数が変化する点に注意
・例:「あなたは本サービスにどの程度満足していますか?(とても満足〜とても不満」
• 例:「本商品を知人に勧めたいと思いますか?(0〜10点)※NPS設問」
3. 自由記述(定性)
• メリット:顧客の本音や気づきを得られる
・デメリット:回答率が下がる可能性がある。
• 例:「上記でそのように回答された理由をお聞かせください」
良い設問の条件とNG例
良い設問の特徴
• 曖昧さがない(定義が明確)
• 一問一意(複数の要素を混ぜない)
• 中立的な言い回しで、誘導しない
NG設問例
• 「この最高のサービスに満足しましたか?」
→ 感情を誘導しており、中立性がない
• 「価格と品質のバランスについてどう思いますか?」
→ 二つの要素を同時に聞いており、分析しづらい
目的別:設問テンプレート例
● 顧客満足度調査(CS)
Q1. あなたの年齢を教えてください(〜10代・20代・30代・40代・50代・60代・70代〜)
Q2. 本日のカスタマーサポートの対応(電話)に満足しましたか?(7段階評価)
Q3. 電話をする前にあなたが調べたツールをすべて教えてください(WEBサイト・FAQ・チャットボット)
Q4. サービス全体の満足度を教えてください(7段階評価)
Q5. その理由を教えてください(自由記述)
Q6. 改善すべき点があれば自由にご記入ください
● 社員満足度調査(ES)
Q1. あなたが所属する部署を教えてください(営業部・総務部・マーケティング部・開発部)
Q2. 現在の業務内容に満足していますか?(7段階評価)
Q3. あなたと上司とのコミュニケーションの頻度はいかがですか?(多すぎる〜少なすぎる)
Q4. 福利厚生についての満足度をお聞かせください(7段階評価)
Q5. 今後のキャリアに不安を感じますか?(7段階評価)
Q6. 改善してほしい点があればご自由にお書きください
● NPS(ネット・プロモーター・スコア)調査
Q1. あなたがこの商品を購入した店舗を選択してください。(新宿店・池袋店・渋谷店・吉祥寺店)
Q2. あなたはこの商品を家族や友人にすすめたいと思いますか?(0〜10点)
Q3. その理由を教えてください(自由記述)
Q4. 改善点やご意見があればご記入ください
アンケート設問を改善するコツ
• 記述式は1〜2問までに絞る(記述式かつ必須の質問項目が増えると回答率が下がる)
• 言葉の定義を設問内で明記する(例:「カスタマーサポート=電話・メール・チャットを含む」)
• 「あなた」のように主語を明確にする(特にES調査は「あなたが所属する組織」との違いを明確に)
• ChatGPTなど生成AIツールで文面を整える
・選択式の場合は7段階の選択肢にする(5段階だと3・4に答えが寄るため、差異を分析しにくい)
回答結果を活用するために
せっかく集めたアンケート結果も、活用しなければ意味がありません。
設問を設計する段階で、「どの設問が、どの意思決定に結びつくのか?」を意識することが大切です。
たとえば、
• NPSで0〜6点をつけた回答者のコメントは、解約予兆や不満要因の抽出に活用
• 社員満足度で「やや不満」と回答した社員の属性を分析し、組織改善の材料に
設問と施策がリンクしていれば、アンケートは単なる調査ではなく、「改善のきっかけ」になります。
まとめ
アンケート設問の作り方は、調査の質を大きく左右します。
適切な設問設計によって、回答率は向上し、集まったデータは施策に活かせる貴重な資産となります。
最後に、本記事のポイントを振り返ります。
• 設問は「導入→本題→詳細→終わり」の流れが基本
• 回答者の心理的負担を下げる設問を意識する
• 設問は中立性・明確性・一貫性がカギ
• 目的別のテンプレートを参考に
• データ活用を見据えた設問設計が最も重要
目的に合わせて柔軟に設問を組み立て、アンケートの効果を最大化しましょう。
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