「顧客満足度は高いはずなのに、解約が減らない…」
そんな課題を感じたことはありませんか?
銀行業界において、顧客満足度(CS)だけでは測れない“顧客の本音”を明らかにする指標として、NPS(ネット・プロモーター・スコア)が注目されています。
本記事では、NPSの概要から、銀行業界における活用方法、業界特有の課題、改善に向けたヒントまでをわかりやすく解説します。
NPSとは?銀行業界に必要とされる理由
NPS(Net Promoter Score)とは、「この銀行を家族や友人にすすめたいと思いますか?」という質問を通じて、顧客ロイヤルティを数値化する指標です。
スコアの分類
- 推奨者(スコア9~10)
- 中立者(スコア7~8)
- 批判者(スコア0~6)
推奨者の割合から批判者の割合を引いた数値がNPSです。
銀行業界では「満足していても解約する顧客」が多く、“感情的なつながり”の有無がロイヤルティを左右する傾向があります。
そのため、NPSは単なるCSの代替ではなく、真のファンを育てるための指標として機能します。
銀行業界におけるNPSの課題と特性
1. 商品の差別化が難しい
定期預金や住宅ローンなど、商品そのものでは差がつきにくいため、サービス体験の質がロイヤルティの決定要因になります。
2. 顧客接点のデジタル化
スマホアプリやインターネットバンキングのUXがNPSに直結。使いにくいアプリはすぐに不満につながります。
3. ネガティブな体験が目立ちやすい
トラブルや手続きの煩雑さといった“負の体験”が記憶に残りやすく、批判者を生みやすい構造です。
他業界とのNPSスコア比較と銀行の位置づけ
以下は、一般的な業界ごとのNPSの傾向です(2023年データ参照):
業界 | 平均NPS |
---|---|
通信 | -5〜+10 |
保険 | -10〜+5 |
銀行 | -20〜0 |
EC(Amazon等) | +50前後 |
高単価サービス系 | +40〜+70 |
銀行業界はNPSがマイナス圏にあることが多く、NPS改善は競争優位性の源泉となり得ます。
NPS活用のステップ:銀行業界での導入と運用
1. 設問の設計(テンプレート例)
・あなたはこの銀行を友人や同僚にすすめたいと思いますか?(0〜10点)
・そのスコアをつけた理由を教えてください。(自由記述)
・店舗やアプリのどの体験が印象に残っていますか?
・改善してほしい点があればご記入ください。
設問のポイント:「点数+理由」を必ずセットで取得し、定量と定性の両面からCXを分析します。
2. スコア分析とセグメント別の傾向把握
- 年代別、支店別、商品別にスコアを可視化
- ロイヤルティが高い顧客層(推奨者)をCRMで優遇
- 批判者にはフォロー施策(アフターフォローやUI改善など)
3. VOC(顧客の声)を活かした改善サイクル
自由記述コメントのテキストマイニングにより、「不満の頻出ワード」「改善要望」を抽出。
たとえば:
- 「アプリが使いづらい」
- 「電話がつながらない」
- 「振込の手数料が高い」
これらを部署別にフィードバックし、現場主導のCX改善サイクルを確立しましょう。
NPSは金融機関の未来を変える指標
人口減少とデジタル競争が激化する中、NPSは銀行にとって「顧客に選ばれ続けるための唯一の指標」とも言えるでしょう。
高スコアを獲得している銀行では、以下のような取り組みが進んでいます:
- アプリUIの徹底改善
- 店舗での接客マナー改革
- コールセンターの応対品質向上
- 顧客別のOne to One対応
まとめ|NPSは銀行のCX戦略の中心へ
「NPS 銀行」というキーワードが示すように、いまやNPSは単なるアンケートではなく、顧客との信頼構築の出発点です。
銀行業界においては、商品よりも「体験」が差を生む時代。NPSの活用が、選ばれる銀行への第一歩になるはずです。
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