カスタマージャーニーとは?基本をわかりやすく解説
カスタマージャーニーとは、顧客が商品やサービスと出会い、購入・利用するまでの一連の行動や思考・感情を可視化したものです。マーケティングやカスタマーサクセス(CS)の現場では、顧客理解を深め、適切な施策につなげるために活用されます。
たとえば、SNS広告で商品を知った顧客が、検索で詳細を調べ、比較サイトで検討し、最終的に公式サイトから購入する――このような「顧客の旅路」をマッピングすることで、どの接点で課題があるのかを把握できます。
BtoBでは、検討期間が長く関与者も多いため、より複雑なジャーニー設計が求められます。一方BtoCでは、感情の揺れや体験価値が購買決定に大きく影響するのが特徴です。
カスタマージャーニーの作り方【5ステップ】
ステップ①:ペルソナを明確にする
まずは「誰のジャーニーか」を定めましょう。実在の顧客インタビューや営業/CSのヒアリングをもとに、役職・悩み・意思決定者などを具体化するのがポイントです。
例:SaaS導入を検討する中小企業の情シス担当(35歳、社内のDX推進役)
ステップ②:カスタマージャーニーのフェーズを設定する
一般的には、「認知 → 興味 → 比較・検討 → 購入 → 利用 → 継続・推奨」といった流れをベースにします。BtoBでは「社内稟議」「無料トライアル」など独自フェーズも加えると実態に即したマップになります。
ステップ③:タッチポイントを洗い出す
顧客が各フェーズで接触するチャネル・情報源をリストアップします。
- 認知:SNS広告、展示会
- 興味:公式サイト、ホワイトペーパー
- 比較:価格表、導入事例
- 購入:営業訪問、デモ
- 利用:マニュアル、チャットサポート
ステップ④:顧客の行動・感情・課題を記述する
それぞれのフェーズで顧客がどんな行動を取り、どのように感じ、何につまずいているかを記載します。
例:
比較フェーズ
・行動:他社製品と比較検討
・感情:「メリットは分かるが社内説得が大変そう」
・課題:社内共有資料が不足
ステップ⑤:改善ポイントや施策を抽出する
マッピングした情報をもとに、「このフェーズのこの課題にはどんな施策が有効か」を考えます。
例: 比較フェーズでの課題に対し、「社内提案用のPDF資料を用意」など具体的施策に落とし込む
カスタマージャーニーマップを作成するためのテンプレート紹介
ジャーニーマップはExcel・Googleスプレッドシート・Miroなど、使い慣れたツールで作成可能です。以下のような構成が基本です:
フェーズ | タッチポイント | 行動 | 感情 | 課題 | 改善策 |
---|---|---|---|---|---|
比較 | サイト・営業 | 他社比較 | 不安 | 情報不足 | 資料追加 |
無料でダウンロードできるテンプレートを活用すれば、初めてでも迷わず作成できます。
ChatGPTやAIを使ったカスタマージャーニーの自動化テクニック
今注目されているのが、AIを活用したジャーニー作成の効率化です。以下はChatGPTで活用できるプロンプト例です。
- ペルソナ作成用プロンプト:
「中小企業の情シス担当が抱えるDXの悩みを明確にしたペルソナを作成してください」 - タッチポイント抽出プロンプト:
「SaaS導入を検討する際にユーザーが接触するチャネルを一覧化してください」 - 感情分析プロンプト:
「サービス導入時の顧客コメントから感情(ポジティブ・ネガティブ)を分類してください」
これらを組み合わせれば、1時間程度でドラフト版のジャーニーマップを完成させることも可能です。
よくある失敗例と改善のポイント
1. 部署間の連携がない
マーケだけで作成すると、実際の顧客体験と乖離することがあります。営業・CS・サポートなどの視点も必ず取り入れましょう。
2. 作って満足し、施策につながらない
マップは作ることが目的ではなく、改善の起点。施策設計まで落とし込むのがカギです。
3. 顧客視点が抜けている
「自社が届けたい体験」ではなく、「顧客が本当に感じている体験」にフォーカスすることで、実効性が高まります。
まとめ|まずは「小さく作って、改善する」が成功の鍵
カスタマージャーニーは一度作って終わりではありません。まずは1つのペルソナ・1つのプロダクト・1つのフェーズから始め、フィードバックを元に改善していくことが最も重要です。
社内メンバーと共通の顧客理解を深め、施策に一貫性を持たせる第一歩として、今日からカスタマージャーニー作成に挑戦してみてください。
よくある質問(FAQ)
カスタマージャーニーとは何ですか?
カスタマージャーニーとは、顧客が商品やサービスを認知し、購入・利用・継続するまでの行動や思考、感情を時系列で整理したものです。顧客の視点で全体の体験を可視化することで、課題発見や改善施策の設計に役立ちます。
カスタマージャーニーはBtoB企業でも使えますか?
はい、むしろBtoB企業においてこそカスタマージャーニーの活用が重要です。購買までの検討期間が長く、複数の関与者が存在するため、顧客の意思決定プロセスを整理することでマーケティング・営業活動の最適化につながります。
カスタマージャーニーを作るにはどんなツールが必要ですか?
特別なツールは不要で、ExcelやGoogleスプレッドシート、ホワイトボードツール(例:Miro、MURAL)などで作成できます。初めての方はテンプレートを活用するとスムーズです。
カスタマージャーニーは何人で作るのが理想ですか?
マーケティング部門だけでなく、営業、カスタマーサポート、開発など複数部門のメンバーで3〜6人程度の小規模チームでのワークショップ形式が効果的です。実際の顧客接点を持つ人の意見が非常に重要です。
ChatGPTなどのAIを使ってカスタマージャーニーは作れますか?
はい。ペルソナの作成、タッチポイントの洗い出し、顧客の感情分析など、AIを活用することでジャーニー作成の効率を大きく向上させることが可能です。特に初期ドラフトの作成には大いに役立ちます。
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